相談例34 なぜ子供のいない方の相続手続きは難しいのか?⑤(課題点2)

具体的に弊所にこれまで寄せられた「子供のいない方の相続」「相続人が多数の相続」のご相談において、どんな点が課題や障害になったのか、具体的な検討してみます。

②主導的に相続登記や手続きの相談を行う相続人がいない

 相続した財産の中には、けして相続人が欲しがる財産ばかりではありません。むしろ最近では「積極的に相続したくない」というような声も増えてきたように思います。

 人の相続財産は、概ね「不動産」「預貯金や有価証券などの財産」に分けられることは以前も記載しました(上場していない会社を経営しているオーナー社長の場合、自社株式もありますがこれは除きます)

 例えば相続した財産の中で預貯金や上場株式の証券などならば、手間や時間はかかりますが、いずれは現金にしたり換金をすることができます。

 一方で不動産は、売却をしない限り現金化することができず、その売却のためには不動産を承継する相続人を決める必要があります。たまに相談者様でもいらっしゃいますが、不動産の登記制度がある以上、不動産の所有者は登記簿謄本上で公示されています。よって登記名義人が「死者の名義のまま」では不動産は売却できません。

 よく問題となるのは別荘地などの問題です。東京や横浜で亡くなられた方の相続で、よく目にします。関東だと多い地域としては「房総」「那須」「湯沢」「伊豆」「富士五湖周辺」などの別荘地です。大抵のケースでは被相続人も晩年は使わず、子供ら相続人たちも使った記憶がない、という人も多いです。不動産会社から「無料でも引き取れない」と言われました。そのまま所有していても管理費や修繕積立金が発生するだけなので、お金を出して処分してもらうケースも存在します。

 また子供のいない方が亡くなられた場合、これらの土地を亡くなられた方のさらに先代から引き継いでいるというケースもあります。そもそも自宅がこうした空き家の状態になり、処分が必要になるケースが多いでしょう。

こうした不動産がある場合、空き家・別荘地の管理に関わりたい無いという人が大半です。このため率先してこうした手続きを行ったり、専門家に依頼する人が出ないケースも多いです。また地方の不動産などで課税標準額が免税点となり、固定資産税などが非課税になっている場合には 当事者である意識が薄れているか全くないため、依然として放置されてしまうことも多いです。

(参考)固定資産税の免税点とは? *横浜市の場合

固定資産税(土地・家屋)・都市計画税(概要) 横浜市 (yokohama.lg.jp)

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