相談例33 なぜ子供のいない方の相続手続きは難しいのか?④(課題点1)

具体的に弊所にこれまで寄せられた「子供のいない方の相続」のご相談において、どんな点が課題や障害になったのか、具体的な検討してみます。

① 他の相続人を把握していない

兄弟姉妹の子、つまり甥姪になると、それぞれの相続人は「従兄弟」同士となります。若いときならともかく、40代50代となると遠い親族関係にある従兄弟と、ほとんど面識もなく所在地・連絡先が判らないケースもあります。

昨今は役所における戸籍など取得についてもかなり厳格に行われています。その使用目的以外にも、具体的に相続関係を疎明する必要があります。

兄弟姉妹・甥姪といった傍系血族の場合、戸籍を取るのがかなり大変です。

なぜならば、これらの作業には

  •  ★ A 亡くなった人に子供がいないことを証明

    → 亡くなった方の出生~死亡まで全ての戸籍が必要

  •  ★ B その亡くなった方と兄弟であることを証明 

   → 亡くなった方の「両親」の戸籍が必要   *兄弟関係の疎明をするため

  •  ★ C 亡くなった方の兄弟が、既に死亡している場合 

   → 亡くなった方の「兄弟の」死亡を示す戸籍が必要

となります。戸籍取得のたびに、これらを全て書面で疎明する必要があるからです。具体的には相続関係を示し、遺産を引き継ぐ権利があることを、戸籍で証明しなければなりません。

戸籍は昭和の前半に出生た方は、少なくとも2回は変わっています。

  • ・昭和(昭和32年法務省令第27号による改製(昭和33年度から昭和39年度にかけて実施))
  • ・平成(平成6年の法務省令による改製(実際に作業が行われたのは平成20年前後の市区町村が多い)

横浜市の場合:

除籍謄本(除籍全部事項証明書)・除籍抄本(除籍個人事項証明書)・改製原戸籍謄抄本について

https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/koseki-zei-hoken/todokede/koseki-juminhyo/shoumei/jyoseki.html

また女性の場合、結婚などで必ず本籍及び筆頭者が変わっていますし、離婚や養子縁組などでも戸籍に変更があります。

これに加えて、兄弟姉妹や甥姪の生存や現住所まで辿っていくとなると、相続などで戸籍取得になれている専門職でも、かなり大変な作業です。

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