相談例86 (渉外相続)⑦外国籍の方の相続手続きを楽にする方法はないの?

横浜市に住む私の父も外国籍です。

これまでの相談事例で、外国籍の者が亡くなると、相続手続きが大変なことは良く分かりました。

相続登記だったり、銀行預金などの相続財産の解約だったり、日本国籍の方よりも何倍も面倒そうなのですが、

何とかこれを避ける良い方法はないのでしょうか?

司法書士の方に教えて頂ければ幸いです。

よろしくお願いいたします。

 

【回答】

 

外国籍の方が遺言を作るには、そもそもどのの国の法律が適応されるかを考えないといけません。


「遺言の方式の準拠法に関する法律第2条」に記載されていて、下記のいずれかの法律に従えばよいとされています。

行為地法(遺言を作成する地域を判断する基準です)

1 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時『国籍』を有した国
2 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時『住所』を有した地
3 遺言者が遺言の成立又は死亡の当時『常居所』を有した地
4 不動産に関する遺言について、その『不動産の所在地』

 

したがって日本に在住の外国人の方は、国籍を有する自国の法律で遺言を作成することもできますし、
日本の法律に従って遺言を作成することもすることもできます。

また、遺言者が二重国籍者の場合には、いずれの国の法律であっても適用されることになります。
亡くなった後の手続きを考えると、日本の財産の相続については、日本の方式で遺言を作成する方がスムーズに進むので、日本の方式で遺言を作成したほうがいいでしょう


外国人が実際に遺言書を作成するにあたっては、どの言語で遺言書を作成することになるのでしょうか。

外国人が自筆証書遺言をする場合には、遺言者がその全文、日付及び氏名を自著し、これに押印をするか署名をすればよく、使用言語については規定がないので、外国語で遺言を作成することは可能です。
これは以前の相談でも紹介しています。

相談例44 (遺言書/相続)例④英語で書かれた遺言書

 

ただし、公正証書遺言は、日本語で作成しなければならないので、遺言者が日本語を全く話せない場合には、通訳などを立ち会わせる必要があるでしょう。

日本公証人連合会 外国文章認証


こうした外国籍の方の遺言書の場合、どのような注意が必要でしょうか?

この場合、遺言書内に「遺言者の国籍に関わらず、日本国民法の方式に基づき遺言者は本遺言書を作成する」などの文言が必要でしょう。

私の事務所では外国籍の方の遺言に基づく不動産登記や、遺言執行手続のお手伝いなどをしておりますが、その全てが公正証書遺言に基づくものです。
公正証書で作成する場合、上記のような日本語で作成しないとならないハードルはありますが、こうした文言を漏らすこともないので、安心です。
そもそもその後の相続手続きも楽ですので、費用が掛かったとしても必ず公正証書にて作成するようにしましょう。


公正証書の場合、そもそも面倒な外国籍の方の法定相続人の確定も、全てする必要はありませんし、
海外に住んでいる相続人との遺産分割協議も不要です。

このため日本国籍の方でもメリットの大きい公正証書遺言ですが、日本に定住されている外国籍の方にとっては、よりメリットが大きいと言えるでしょう。

司法書士法人近藤事務所では、外国籍の方の相続登記のご相談にも個別に対応させていただきます。
英文文章の翻訳も、弊所内で可能です。
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