相談例85 (渉外相続)⑥在日台湾人名義の父の不動産の相続

横浜市に住む私の父が死亡しました。
父は台湾国籍を持っていますが、人生の大半を日本の横浜市で過ごし、最後の住所地も日本です。
私たち子供たちは、だいぶ前に日本国籍に帰化しています。


父の自宅だった横浜市内不動産と、収益物件であるマンションについて相続登記手続きを考えております。

台湾国籍の場合、日本と国交がないためかなり複雑な手続きになると聞いたのですが、この際に必要な書類などはなんでしょうか?

【回答】

 

基本的な考え方としては、在日韓国人や在日中国人の方の相続手続きと同様になります。

相談例83 (渉外相続)④在日韓国人名義の父の不動産の相続 | 横浜の相続丸ごとお任せサービス (yokohama-isan.com)

相談例84 (渉外相続)⑤在日中国人名義の父の不動産の相続 | 横浜の相続丸ごとお任せサービス (yokohama-isan.com)

但し、ご指摘の通り、日本と台湾には2022年時点で国交がありません。
このため戸籍の扱いを外国国家の公文書として扱うか否かにおいて、差異があり
この点が細かな問題となることが多いです。

台湾には日本の統治時代の名残で戸籍制度があるため、台湾国内で戸籍謄本に似た書類の取得が可能です。
台湾の役場で戸籍証明書を取得したら、さらに次の3段階の認証が必要となります。

登記のとしての考え方としては、下記のような考え方になります。
いわゆる「正式な証明書として扱うための3段階の認証」です。

この「3段階の認証というのは」とは何かというと、

1.台湾の公証人の認証
2.台湾の外交部の認証
3.日本にある台北駐日経済文化代表処の認証

以上の3つの認証です。

台北駐日経済文化代表処は日本国内では、東京・大阪のほか、横浜市や沖縄県那覇市、福岡市、北海道札幌市などにもブランチがあるようです。

下記に横浜市の台北駐日経済文化代表処のリンクを貼っておきます。

首頁 – Yokohama Branch, Taipei Economic and Cultural Representative Office in Japan 台北駐日經濟文化代表處橫濱分處 (roc-taiwan.org)

日本と台湾は正式な国交がありませんので、台湾を「国」として認めておりません。
日本政府の役所である法務局についても同じことが言えます。

このため台湾国内で発行した戸籍証明書では、証明書として足りないということになります。

このため法務局としては、3段階の「認証」を必要とします。
つまり、印鑑証明書のほかに戸籍にあたる書面で3回の認証を経る必要がある、という取り扱いです。
以上が原則です。

しかしながら、これは明らかに迂遠な手続きですし、特に長年日本にくらしていた永住権を持つ台湾の方の相続登記においては日本人の何倍も手間がかかるのは不合理です。

登記を管轄する法務局や相続の個々のケースによっては、台湾政府発行の戸籍について、日本語訳文を付した書類でも、相続登記を受理するケースもみられます。

このため個々のケースにもよりますので、被相続人が日本に住所を持つ台湾国籍の方の相続登記については、登記を専門とする近隣の司法書士への相談を強くお勧めします。

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司法書士法人近藤事務所では、外国籍の方の相続登記のご相談にも個別に対応させていただきます。
英文文章の翻訳も、弊所内で可能です。
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