相談例74 (相続/不動産登記)⑫遺贈の登記をしたいのに権利証が見つかりません

横浜市在住の叔父が死亡し、相続が発生しました。

すべての財産を甥である私に「遺贈」すると記載された遺言が残されていました。

父の弟にあたる方なのですが、父が存命のため、横浜市内の司法書士の方に相談したところ、すべての財産について「相続」ではなく、「遺贈」になると言われました。

遺言執行者には私の父親が指定されています。

司法書士の方に権利証を探すように言われたのですが、ただ叔父は一人暮らしだったこともあり、いくら自宅を探しても亡くなった父の権利証がどうしてもみつかりません。

叔父の自宅不動産の不動産登記を動かすにはどうすればいいのでしょうか?


【回答】

この場合、不動産の登記のためには、2つの方法が考えられます。

 

1つが、事前通知制度(じぜんつうちせいど)といわれるものです。
日本において不動産登記を申請するにあたり、登記識別情報又は登記済証を提供・提出すべきなのに、
正当な理由があって提供・提出できない場合に、登記官が登記義務者の真実性を確認する制度です。

具体的には、法務局から、申請人(義務者:この場合は遺言執行者)に、申請書や委任状などに押印した実印と同じ印鑑を押印して
法務局に返送をして、本人確認をするものです。

この場合、登記識別情報又は登記済証を提供・提出がなくても、「遺贈」の登記を終えることができます。

 

また2つ目として登記義務者(遺言執行者)について、資格者代理人に本人確認情報を作成してもらうことも考えられます。

登記申請の際に、登記識別情報を提供(登記済証を提出)できない場合、その登記申請を代理する司法書士などの資格者代理人が作成・提供するる本人確認情報を添付することで、
登記識別情報又は登記済証を提供・提出をすることなく、「遺贈」の登記を終えることができます。

但し、司法書士による本人確認情報の作成には、下記のような身分証明書の「原本」提示が必要です。

▼1号書類(1種類の書類で可能)
 運転免許証
 マイナンバーカード(写真付き
 パスポート
 在留カード   など

▼2号書類(2種類の書類の提出が必要)
 国民健康保険証
 健康保険証
 後期高齢者医療若しくは介護保険の被保険者証
 国家公務員共済組合若しくは地方公務員共済組合の組合員証
 私立学校教職員共済制度の加入者証
 国民年金手帳      
         など


これらは登記を申請する司法書士にお尋ねになられてみた方が良いかと思います。

今回のケースのように身内で登記申請を行う場合は、1の事前通知制度でも良いかと思います。
他人間の売買のようなケースでは、2の本人確認情報を作成するケースが通常です。


その他にも「公証人による本人確認認証」もありますが、こちらの説明はまたの機会にさせて頂きます。

 

 

司法書士法人近藤事務所では、相続、遺贈の登記のご依頼についても、親切丁寧にご相談に対応させていただきます。
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