相談例71 (相続/不動産登記)⑨法定相続人への「遺贈」登記
横浜市在住の父が死亡し、相続が発生しました。
相続財産は横浜市内にある自宅不動産(おおよそ2000万円くらいの価値)と、同じくらいの預貯金程度です。
相続人は長男の私と弟の2名なのですが、弟とは、父も私も折り合いが悪く、正直なところあまり家族仲が良いとはいえません。
幸いにも自筆証書遺言があったので、司法書士に依頼し、横浜家庭裁判所で検認の手続を取りました。
しかし父が残した遺言の内容として、「長男に自宅の不動産を贈与する」と記載がされていました。
普通は相続と書かれているのが一般的だと思いましたので、少し不安になってました。
質問なのですが、この遺言で本当に不動産登記ができるのでしょうか?
不安です。
回答
被相続人の死亡により、発生する「不動産登記」の登記原因としては
①「相続」
②「遺贈」
③「死因贈与」
などがあります。
これは遺言があるような場合には、その遺言内の文言から、どの原因が一番適しているかを判断し、登記の原因とします。
この相談の内容としては、「相続人対して」の「遺贈」が登記の原因となると思われます。
但し、遺贈の場合、登録免許税が相続した不動産の固定資産税評価額の「1000分の20(2%)」と高額になります。
不動産の固定資産税価格が2000万円の場合、登録免許税だけで約40万となります。
このため登記の原因としては、遺贈よりも、相続の方が、コストパフォーマンス的には優れているといえます。
しかしながら、今回の相談のように、遺贈でも法定相続人に対して遺贈が行われる場合、
それらを戸籍などで明らかにすれば登録免許税は1000分の4ですので、大きな差異はありません。
一番異なってくるのが、登記の申請構造です。
遺贈の場合は、登記権利者(受遺者)と登記義務者との共同申請で、遺贈による所有権移転登記の申請をします。
義務者とは、売買の登記でいえば売主にあたります。
さて、遺言の場合、持ち主である被相続人が死亡しているため、登記の義務者は誰になるのでしょうか?
遺言により遺言執行者の指定がされている場合、受遺者を登記権利者、遺言執行者を登記義務者として、共同で遺贈による所有権移転登記の申請をします。
遺言執行者がいない場合、遺言者の相続人全員が登記義務者となる必要があります。
相続人同士で仲が悪く、まして不動産を貰えない法定相続人は、遺贈の登記に協力を頂けない可能性もあるでしょう。
そうした場合には、遺言執行者の指定がないときでも、家庭裁判所で遺言執行者を選任してもらうことも可能です。
遺言執行者が選任された場合は、遺言執行者が義務者となり、遺贈の登記を申請できるでしょう。
尚、不動産登記を申請する法務局は、亡くなった方の住所地ではなく、不動産の所在地になります。
法務局・管轄のご案内:横浜地方法務局 (moj.go.jp)
司法書士法人近藤事務所では、相続登記のご依頼についても、親切丁寧にご相談に対応させていただきます。
ご予約専用ダイヤルは0120-926-680になります。
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