相談例54 (遺言書/相続)例⑭遺言執行者として何をすれば良いか分かりません

叔母が亡くなりました。子供がいなかったこともあるのでしょうが、遺言があり、甥の私に全財産を相続させる内容が書かれていました。また叔母の遺言執行者としても私が指定されていました。

他に叔母の兄弟やその子供などで私以外に5名の相続人がいます。私は遺言執行者に指定されて、何をどうすればいいのでしょうか?

【回答】

①就任の可否

まず遺言執行者としてなすべきことは、就任をするかしないかを各相続人に対して通知することです。遺言執行者には就任しないという選択肢もあります。荷が重いと感じた場合、またあまり考えられないケースですが、相続財産を受け取らないに遺言執行者のみの指定がなされた場合などが考えられます。

民法1007条

遺言執行者が就職を承諾したときは、直ちにその任務を行わなければならない。

遺言執行者は、その任務を開始したときは、遅滞なく、遺言の内容を相続人に通知しなければならない。

②相続財産目録の交付

次にすべき事として、相続財産の特定および財産目録の交付があげられます

民法1011条

(相続財産の目録の作成)

遺言執行者は、遅滞なく、相続財産の目録を作成して、相続人に交付しなければならない。

これには相続人の中に遺留分減殺請求を有する相続人がいる場合、遺留分減殺請求の行使につき、1年の消滅時効の起算点としてする効果もあるといえるでしょう。遺留分減殺請求の時効が通常の時効と比べて短いのは、相続という突発的な事案に対し、法的安定性を早く定着さるためといえるでしょう。

民法1048条

遺留分侵害額の請求権は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。相続開始の時から十年を経過したときも、同様とする。

③遺言の内容の実現(執行)

そして、遺言の内容を執行していきます。具体的には銀行預金の解約であったり、不動産の相続・遺贈の登記などです。

④終了報告

最後が遺言執行業務の終了報告です。すべての相続人にその旨を報告する必要があります。

公証人の立ち合いの元で作成された公正証書遺言内で遺言執行者が指定されている場合、殆どの場合に遺言執行者について「復任権」の記載があります。これは遺言執行者がさらにその任務を、第三者に委任できるというものです。

実際に遺言執行者に指定されたものの、実際の執行については心もとない、または時間が取れないなどの理由で司法書士などの第三者に任務を依頼する場合もあります。お気軽にご相談ください。

*本件は業務上の経験と個人的な見解とに基づき記載しておりますので、内容の正確性、法的整合性等ついては一切の保証をできかねます。各相続のケースでは各専門家の指導の下、個別具体的な判断お願い致します。

司法書士法人近藤事務所では、遺言書の作成についても、親切丁寧にご相談に対応させていただきます。
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