相談例39 (遺言書)自筆証書遺言と公正証書遺言の違いについて①

自筆証書遺言と公正証書遺言の違いについて①

 自筆証書遺言は、全文を手書きで作成する必要があります。令和2年の法改正(平成30年7月6日「法務局における遺言書の保管等に関する法律」(以下、「保管法」)が成立し、2020年7月10日施)で財産目録については、コピーやパソコンでの作成が認められるようになりました。一方で本文については従前どおり自筆が原則、代筆も不可能です。

 公正証書遺言は、公証人に対し、遺言者が遺言の内容をあらかじめ伝えて作成してもらいます。遺言を書く人が自身が遺言の文案を作成する必要はありません。遺言者本人でなく、公証人が読み上げる形で遺言の作成を行います。しかし、無関係な証人2人以上の立会が必要です。民法第974条では、遺言の証人になれない欠格事由を、例示であげています。逆に下記の方以外は遺言の証人になることも可能といえます(例えば被保佐人などの制限行為能力者、障害を持つ方など)。

民法第974条(証人及び立会人の欠格事由)

次に掲げる者は、遺言の証人又は立会人となることができない。

一 未成年者

二 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者及び直系血族

三 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

自筆証書遺言のメリットとデメリット

​自筆証書遺言と公正証書遺言の違いは何でしょうか。それぞれのメリット・デメリットについて検討します。

メリット

自筆証書遺言のメリットとしては、たとえば以下のような点が挙げられます。

  • ・いつでもどこでも手軽にに作成できる
  • ・費用の負担が少ないい
  • ・作り直しをする場合も手間がかからない
  • ・誰にも遺言を作成したことを言う必要がない。

公正証書遺言のように公証役場に行く必要もありません。また法務局で保管すれば検認の手続きが不要になりますし、偽造や紛失の恐れもありません。

参考)令和2年7月10日から始まった自筆証書遺言の保管制について

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html

  • デメリット

自筆証書遺言にはメリットがある反面、以下のようなデメリットがあります。

  • ・そもそも死後に遺言を発見されない可能性がある
  • ・形式不備により遺言が無効になる可能性がある
  • ・偽造・変造・紛失の可能性がある
  • ・検認の手続きが必要になる(法務局による保管の場合を除く) →相続を証する戸籍を全て集める必要があります

(公正証書遺言のメリット デメリットに続く)

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